花嫁に読むラブレター
「お城みたい……」
無意識に呟いた言葉に、ユンが苦笑した。
「広いでしょ? 前にも言ったと思うんだけど、ここは今の国王さまが保養所として使う予定で建てたらしんだ。でもちょうどその頃にぼくの父と母の結婚が決まってね、お祝いに頂いたんだって母が言ってた」
「でも普段のお買いものとかはどうしてるの? すごく遠いじゃない……」
「うん、あのね、ここからは見えないけど畑があるんだよ。穀物とかお野菜とか、全部母が育てているんだ。それでも足りないものは父が月に一回お城から帰ってくるときに持ってきてくれるんだよ」
え、と声をあげそうになって、飲み込んだのは、ユンが玄関の扉を開けたからだ。
どうぞ、と促されて進んだ玄関には、赤い絨毯が綺麗に敷かれている。砂も石も綺麗に取り除かれた玄関は、まるで客間のように広く清潔だ。
高そうな花瓶に挿された花が甘い香りを漂わせ、壁にかけられた燭台がぼんやりと室内や肖像画を照らしている。うんと高い天井は半円のガラスがはめこまれ、暗い夜空に浮かぶ星を映していた。