カレンとセレン
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コツコツコツコツ…
屋敷にカレンのヒールの音が響く。
目的の場所の扉の前につくと、カレンは小さく深呼吸をし、
そして、扉に手をかけた。
ガチャ
「お父様、お母様。
遅くなって、ごめんなさい!」
「いや、いいんだよ。
レインもまだ、来ていないしね」
そう言いながら、こちらへ向いたのは優しそうな顔立ちのフォーカス伯爵だ。
髪色は白髪混じりの赤毛で温かい雰囲気である。
そして、目は細くたれ目で、これが優しそうな顔立ちに見える一番の要因だろう。
「ごめんなさいね、カレン。
そうだ。レインが来るまでそこのクッキーを食べていてはどう?」
フォーカス伯爵の隣にいるリナ夫人が口を開いた。
リナ夫人は綺麗な黒髪で美しい顔立ちの女性だ。
とても優しい雰囲気をまとっている。
「そうするわ、お母様。ありがとう!」
カレンは両親の座っている正面のソファーに腰かけると、テーブルの上にある箱からクッキーを1つ手に取った。