カレンとセレン

---漆ゆりの塔


「中へ急げ!

施錠するぞ。」



彼女らは塔の中へ入る。



「そう簡単には開けられないわね。」


「あぁ。だが時間の問題だな。」



「…。
でも、その前に炎に包まれてしまうわ。」



「「…。」」




二人の間に沈黙が流れた。



「…すまない。

お前も逃がしてやることが出来なくて…。」



先に口を開いたのは彼女の夫だ。




その言葉に彼女は慌てて首を横に振る。



「いいえ。そんなことはないわ。」



彼女は優しく、彼の手を包む。


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