BLACK
数秒、その状態が続き。゙黒゙は妖艶ともとれる綺麗な微笑を浮かべると、私をそのダークブルーの双眼に映した。
儚げな゙黒゙の彼を、私も真っ直ぐに見つめ返す。
「随分と、厄介なお嬢さんだ。」
「…。」
「人間の分際で、俺が見えるなんて。いっぞ狩ってしまおうが?」
「…、…狩る?」
直ぐに解せないワードが゙黒゙から馬鹿にしたような口調で吐き出されたことに、眉根を寄せつつも質問で返せば。
それはそれは、゙黒゙は愉しげに口角を引き上げて笑った。
゙魂を、狩るんだよ。゙
瞬きをした、その一瞬。
私の首もとで、弧を描いた銀がギラリと月明かりで鋭利に光った。