BLACK
国道の上にある、大きな歩道橋。その歩道橋の真ん中あたりに、それはいつも居る。
いつも、そう、いつもだ。
今日みたいに日照りの強い日でも。出歩きたくない雨の日でも。
ただただ、手摺りにもたれながら空を見上げている゙それ゙は、
「…相変わらず、゙黒゙。」
カラスみたいな、黒。
何故かいつも黒装束の着物を纏う彼。その横顔はあまりにも儚い。
色白の肌は透明感さえ思わせる、整った顔立ちも整いすぎて何処が別世界゙だと思わせられる。
艶のある黒髪だって、私がいくらトリートメントしたって適わないと思うほどに綺麗。
「(………けど、)」
やはり、やはり、オカシイ。
何がオカシイって、
彼自身の周りに今ある、全てがオカシイのだ。