アイドル拾っちゃいました
「やあ、おはよう」

「おはよう……。今朝はずいぶん早起きなのね?」

「まあな。遅刻するわけにはいかないから」


 俺がそう言うと、ねこは「え?」って顔をした。そして俺がスラックスにワイシャツをビシッと、ってほどでもないが、着込んでいるのをしげしげと見て、

「出掛けるの?」と言った。


「おいおい、今日は月曜だって知らなかったか?」

「月曜って……ああ、そうか」


 ねこは曜日の感覚がなくなってるらしい。

「今日から一週間。正確には5日間だけど、サラリーマンの戦いの日々が始まるわけよ」

「そうなんだ? お勤め、ご苦労さまです」

 ねこがおどけてそう言い、それが可愛いけど可笑しくて、俺はクスッと笑った。そして、


「俺が行っちゃうと寂しいかな?」

 と、おどけた感じで言ってみた。『ぜんぜん。せいせいするわ』ぐらいな返しを予想して。ところがねこは……


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