アイドル拾っちゃいました
「なあ川島よ、おまえベリーズって知ってるか?」


「ベリーズ? もしかして、おまえの機嫌がいいのは、それか?」


「あ……ああ、実はそうなんだよ。俺、ベリーズにはまっちまってさあ」


 おお、うまいこと話を逸らせたぞ。


「知ってるも何も、俺はベリーズの大ファンさ。で、お気に入りは誰だ?」


「ヒロミン」


「ヒロミンか? 渋いな」


「渋い? どういう事だよ?」


「ん? あの子は歌も踊りもたぶんベリーズで一番だけど、やる気がなさそうっていうか、いつもふて腐れた感じがするだろ?」


「そうかぁ? 俺はそう思わなかったけどな」


「観察が足りねえんじゃねえの? もしかすると、このままベリーズを抜けるんじゃねえかと噂されてるよ。俺もそんな気がするな」


 ん?

 川島の言葉に、思わず俺の箸を持つ手が止まった。ヒロミンがベリーズを抜けるだと?


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