アイドル拾っちゃいました
 それを受け取ると、実際に重かった。中を覗くと玉ねぎや挽き肉、タマゴなんかが入っていた。


「出掛けるなって行ったのに……」


「近所のスーパーに行っただけだもん、大丈夫よ」


「そうか? ところでこれって……?」


「うふ、ハンバーグを作ろうと思ったの」


「作れるのかよ?」


「大丈夫よ。これも買ったから」


 ねこはそう言って、もうひとつの袋から料理本を出して見せ、茶目っ気たっぷりな笑顔を見せた。

 ねこって、こんな可愛い顔もするんだ?


「どうしよう。あなたがこんなに早く帰って来るなんて思わなかったから、まだ何にもしてないよ……」


 買ったものをキッチンに運びながら、ねこはそう言った。


「俺もやるから大丈夫さ。夜はまだまだ長いしな」


「そうね?」


 とか言いながら、俺達は顔を見合わせ微笑み合った。なんか、新婚の夫婦みたいだ。いっそこのまま、ずっと、ってわけには行かないだろうか……


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