アイドル拾っちゃいました
 そう。ねこは高級コールガールで、しかしそんな“仕事”に嫌気がさし、その世界から逃げ出して来た、という当初の俺の推理を思い出したのだ。


 ヒトミという子の事でねこと話した時は、その推理は間違ってるのかもと思ったが、まだそうと決まったわけではない。

 やはり当初の推理通りだとすると、ねこは男に抱かれたくないはず。そう思ったのだが……


「あなたって、ずっと私の事を勘違いしてるわよね? 私、懲りるほどなんて、男の人と付き合った経験ないわよ? ずっと忙しくて、そんな暇なかったもん」


「ほ、ほんとに?」


「本当よ。好きな人ができたのって、ずいぶん久しぶりなんだから……」


 どうやら俺は、すっかり勘違いしていたらしい。でも、勘違いでよかった……


 待てよ、だったらねこや昨日来た子達の仕事って、いったい何なのだろう。


「もうお喋りはやめましょうよ?」


 ねこはそう言って俺の首に腕を巻き付けると、自分から唇を俺の唇に押し当てて来た。考えるのは、後にしよう……


< 134 / 253 >

この作品をシェア

pagetop