アイドル拾っちゃいました
「おまえもいいと思うだろ? ヤコちゃん」


「え? わるい、ヤコちゃんって子がどの子か分からねえ」


「何だよ、それは……。おまえファンになったんじゃねえの? メンバーの名前と顔、まだ覚えてねえのかよ?」


「面目ない。覚えたのはヒロミンとマリちゃって子だけだ。川島はどうなんだよ?」


「おまえなぁ、俺をなめんなよ? いいか? ヒロミン、マリちゃん、ヤコちゃん、ユッキー、ココちゃん、ヒトミちゃん、ハル姉。どうだ?」


 メンバーの名前を早口で言い、川島は得意げな顔をした。ハルって子は、みんなより年上なのか?

 てな事より、なんか聞き覚えのある名前があったような……


「なあ、今“ヒトミちゃん”って言ったか?」


「ああ、言ったよ」


「どんな子だ?」


「ヒトミちゃんはだな、メンバーの中で最年少の18歳。背も一番低い。ベリーズに入ったのもみんなより遅くて……」


 得意げにヒトミという子の説明を川島は話し続けたが、後半は耳に入らなかった。

 ヒトミって、このあいだ家に来て、ねこの事を「お姉」と呼んで抱き着いた子と同じ名前だという事に気付いたから。しかも年は同じで背が低いところも一緒。単なる偶然とは思うが……


 それと、“ヤコちゃん”という名前も思い出した。ねこのルームメイトと同じ名前じゃねえか!


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