アイドル拾っちゃいました
「やったな!」


「おい、デカイ声出すなよ」


 川島が大きな声を出したので、すかさずそれを俺はたしなめた。周りの客は、何事かと俺達を見ていた。


「わりい、わりい。でもおまえ、やったじゃねえか。あのヒロミンといい仲になるなんてよ……」


「まあな……」


「まあなって、何でそんなに落ち着いてるんだよ? そこはデレデレしたりするとこだろ?」


「そうか? 俺はそんな気分じゃねえよ」


「なんで?」


 川島なら俺の気持ちを解ってくれると思ったのだが、どうやら俺の買い被りだったらしい。


「もうその話は止そうぜ? 早く飯食っちまわないと、職場に戻るのが遅れちまう」


 俺はそう言って、食いかけの牛丼に箸を突き刺した。


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