アイドル拾っちゃいました
 その日の夜、飯を食い終わってすぐに俺は宏美と話し合う事にした。ぐずぐずして、ベッドに入ってからではまた流されてしまうから。


「宏美……」


「な、なに?」


 俺は体をひねり、ソファーの隣に座る宏美を正面に見据えて話し掛けた。宏美はそんな俺の態度に、驚いて目を見開いた。


「俺たち、いつまでも今のままでいいと思うか?」


「そ、それは……」


 俺の質問に宏美は目を泳がせた。やはり宏美も迷ってる。俺はそう確信した。


「おまえ、本当はヒロミンとして、またみんなと歌いたいんだろ?」


「私……歌や踊りは嫌いじゃない。みんなに迷惑掛けてるのも辛い。でも、またあんな生活に戻るのは……嫌なの」


 宏美が言う“あんな生活”とは、寝る時間もないような超過密なスケジュールの事だろう。体を壊しかねないそんな生活に、俺だって戻させたくない。


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