アイドル拾っちゃいました
「話し合いがダメなら、交渉すればいい」


「交渉?」


「そう。おまえが復帰するにあたり、条件を提示するんだ。例えば仕事を減らせとか。あるいはみんなに声を掛けて、ストライキするのもいいかもな?」


 俺はもちろん本気だし、いい案だと思ったのだが……


「そんなの無駄よ。私なんかいなくても平気だし、ベリーズ自体、社長にとってはただの使い捨てに過ぎないわ。すぐに代わりのユニットを結成してお終いよ」


 宏美は寂しげにそう言った。


「それは違う! おまえ、いや君は何にも分かってない!」


 俺は思わず声を荒げていた。前から薄々気付いてはいたが、宏美は自分やベリーズを過小評価している。自分達の素晴らしさを、まるで分かってない!


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