アイドル拾っちゃいました
会社には何とか遅刻せずに着き、ホッとしたのだが、川島が俺を見るや、血相を変えて近付いて来た。


「お、おまえ、なんで来たんだよ!?」


「はあ? 今日は金曜だろ? 来て当たり前じゃねえか」


 川島は、ずいぶんおかしな事を言うもんだなと思った。


「おまえ、テレビ見てねえのか?」


「テレビ? 見てねえよ。今朝は俺も宏美も寝坊しちまってさ。なんせ夕べは……えへへ」


バシッ

 川島に雑誌で頭を叩かれた。薄っぺらい雑誌だから痛くはなかったが。


「ノロケてる場合じゃねえよ。CDショップには行くなって言ったのによ……って、あ、それは昨日だから手遅れだったわけかぁ」


「川島、話が全然見えないんだけど?」


「パパラッチに盗撮されたんだよ! これ、やるから、見てみろ」


 そう言って渡されたのは、俺の頭を叩いた雑誌で、表紙を見たら、今日発売の写真週刊誌だった。


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