アイドル拾っちゃいました
「ヒロミンも同じです。神谷さんに会いたいって、泣いてました」


「ほんとに!?」


「もちろん」


 あの勝気で明るい宏美が泣くなんて、思いもよらなかった。そこまで俺の事を想ってくれてるなんて……


 宏美の事を想ったら、俺まで泣きたくなった。実際、涙がジワッと出てきてしまった。それをヤコちゃんに見られたくなくて、俺はベッドの縁に座っていたが、そこからすくっと立ち上がると、冷蔵庫の飲み物を取りに行った。


 よく冷えたお茶のペットと、グラスを2個持ってヤコちゃんの元へ戻った。涙はもう止まっている。


「こんなのしかなくて……」


「いいえ。ちょうど喉が渇いてたので、いただきます……」


 二人同時にお茶を飲むと、二人同時に『ハアー』と溜め息をついた。


< 202 / 253 >

この作品をシェア

pagetop