アイドル拾っちゃいました
 数日後、俺の内線電話が鳴りそれと取ると、受付の女性からだった。


『神谷暁さんにご面会の方が見えてます』


「俺に? どちらの方ですか?」


 どこの会社の人かと思って聞いてみた。もちろん、そんなアポは誰からも受けていないが。


『小松さんという女性です。神谷さんのお知り合いとの事ですよ?』


 受付嬢は、暗に“私用の面会は困りますよ?”的な雰囲気でそう言った。

 小松なんて苗字の女、知り合いにいたっけかなぁ。ま、とにかく会ってみるか。


 急いで2階のロビーに降りると、カウンターの向こうからちょっと美人な受付嬢が俺を見て、俺が名乗る前に“あちらですよ”って感じで応接のソファーを手で示した。

 俺も有名になったものだなぁ、なんて思いながらそっちに目を向けたら、つば広の白いパナマ帽を目深に被り、濃いサングラスを掛けた若い女性が座っていた。


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