アイドル拾っちゃいました

「こっちが問題なんだよなぁ」


　横で川島がそう呟いた。


「こっちって何だよ？ 何が問題なんだよ？」


「まあ、黙って聞いてろよ。ヤコちゃん、頑張れ！」


　とか言いながら、川島はヤコちゃんに向かってガッツポーズなんかをした。どうなってんだ？

　俺は首を捻りながら、ステージのヤコちゃんに視線を戻した。



「私達は、事務所にもうひとつ交渉しようと思ってる事があります。それは……」


　そこでヤコちゃんはいったん言葉を切り、会場中が固唾を吞んで続く言葉を待った。


「恋愛禁止を解除してもらいます。応援していただけますか？」


　会場は水を打ったようにシーンと静まり返り、やがてどよめきが起きた。