アイドル拾っちゃいました
「私は、ある人を好きになりました」


 ヒロミンはそう切り出した。会場中が、ハッと息を飲むのがわかった。やはり事務所の発表は、嘘だったのかと……


「私は、いいえ、私達は恋をしたいんです。普通の女の子と同じように。それは許されない事なのでしょうか?」


 その問い掛けに、「許すよヒロミン」とか、「幸せになって!」とか女性の声が上がり、それにつられて拍手がパチパチと鳴りはじめ、やがて大きな拍手となった。

 だが、それは会場の約半数と思われ、男性からは声無き抵抗のようなものが感じられた。それを当然ながらヒロミンも感じたらしく、


「もし恋と歌と、どちらかを選ばないといけないとしたら、私は恋を選びます」


 ……爆弾を投げた。


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