アイドル拾っちゃいました
 川島の声がやけにはっきり聞こえ、俺は我に返った。そして知った。川島の声がはっきり聞こえたのは、会場がシーンと静まり返っているからであり、俺はいつの間にか立ち上がっていて、会場中の視線が俺に集中しているという事を……


「あ、あいつ、週刊誌の男じゃないか?」


「ヒロミンの彼氏があそこにいるぞ!」


「チクショー、俺のヒロミンを奪いやがって!」


 そんな言葉が聞こえて来て、男を中心に俺に向かってドドドッと人が寄って来た。


 俺があたふたしていたら、川島に腕を引かれて座らされた。


「俺が身代わりになるから、おまえはヒロミンを連れて逃げろ!」


「え?」


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