アイドル拾っちゃいました
「おまえと俺は背格好が似てるし、服の色も似てるからごまかせる。迷ってる暇はねえぞ!」


「お、おお」


 確かに俺と川島はちょっと見似てるし、偶然だが今日は二人ともグレー系のシャツを着ていた。


「早く行け!」


「わ、わかった」


「神谷さん、お姉ちゃんをよろしく」


 良美ちゃんからもそう言われ、俺は力強く頷くと、姿勢を低くしながらステージの下を横に動いた。


 川島はそれを見て立ち上がり、ステージに向かって「ヒロミン、愛してるよ!」なんて事を叫び、途端に男どもに囲まれていた。


 俺は心で川島に礼を言い、宏美に向かって、


「宏美、おいで!」と叫んで手を伸ばした。


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