アイドル拾っちゃいました
男の、俺の腕を掴む手の力が弱い。あれ? と思って男を見たら、意外な事に彼は優しい目で俺を見ていた。
そしてその目は、『行っていいよ』と言っている、ように見えた。
『いいのか?』と目で返すと、『いいから、早く』と男は目で言った、と思う。
俺の勘違いかもしれないが、男の手を振り解こうとしたら、呆気なく振り解けたから勘違いではなかったらしい。目で『サンキュー』と男に言い、俺は宏美の手を引いて扉を開け、外に向かって駆け出した。
背後で「何やってんのよ! もたもたしないで、早く二人を追い掛けなさい!」と喚く、五十嵐京子のキンキン声が聞こえた。
会場の外へ飛び出したら、なぜか大勢の人がいた。
「出待ちの人達だわ」と宏美は言った。なるほど。
「きゃ~、ヒロミンだ!」
「あの男は何だ!?」
「どうなってんの!?」
そんな言葉を口々に叫びながら、“出待ち”の人々が俺達を追って来たが、俺と宏美は手に手を取って走った。こんな時だというのに、顔に当たる夜風が気持ちいいなと俺は思った。
そしてその目は、『行っていいよ』と言っている、ように見えた。
『いいのか?』と目で返すと、『いいから、早く』と男は目で言った、と思う。
俺の勘違いかもしれないが、男の手を振り解こうとしたら、呆気なく振り解けたから勘違いではなかったらしい。目で『サンキュー』と男に言い、俺は宏美の手を引いて扉を開け、外に向かって駆け出した。
背後で「何やってんのよ! もたもたしないで、早く二人を追い掛けなさい!」と喚く、五十嵐京子のキンキン声が聞こえた。
会場の外へ飛び出したら、なぜか大勢の人がいた。
「出待ちの人達だわ」と宏美は言った。なるほど。
「きゃ~、ヒロミンだ!」
「あの男は何だ!?」
「どうなってんの!?」
そんな言葉を口々に叫びながら、“出待ち”の人々が俺達を追って来たが、俺と宏美は手に手を取って走った。こんな時だというのに、顔に当たる夜風が気持ちいいなと俺は思った。