アイドル拾っちゃいました
 ダッシュボードの名札を見たら、運転手さんは高山さんというらしい。ベリーズファンの高山さんはお喋りが好きらしく、話はなおも続いた。


「家はかみさんも娘もみんなベリーズのファンでしてね、ヒロミンを乗せたぞと言ったら、さぞや羨ましがられるでしょうね……」


「はあ……」


 行き先を任せている弱みもあると思い、俺は高山さんに話を合わせた。


「旦那さんは、例の週刊誌に載ってた人ですよね?」


「あ、はい……」


「やっぱりヒロミンの恋人だったわけですね?」


「はい、すみません……」


 今更隠してもしょうがないし、ベリーズファンには未だに申し訳ない気持ちがあるので俺はそう言った。


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