アイドル拾っちゃいました
「着きましたよ」


 タクシーは大通りから少し中に入った路地で停車した。


「ここは……?」


「私がいつも休憩してる場所なんですよ。そこに公園があるんですが、昼間でも殆ど人通りがなく、静かな超穴場ですよ」


「ありがとうございます。えっと、いくらですか?」


 タクシー料金を聞こうと思ったのだが、


「いりませんよ。そもそもメーターをセットしてませんから」


「え?」


「ささやかなプレゼントです。ベリーズの一ファンとして」


「ありがとう、高山さん」


「いや、どういたしまして……」


 高山さんは、宏美からお礼を言われて顔を赤くしていた。


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