アイドル拾っちゃいました
 飯を食い終わり、俺達はボーっとしながらテレビを見ていた。

 女と何か話をしたいが、女の事を何も知らず、聞いてもどうせ答えてもらえないと思うと、何を話せばいいかわからなかった。


「ねえ、あなたってさ……」


 意外にも、女の方から話し掛けられた。


「“あなた”って、それも悪くはないけど、名前で呼んでくれないかな?」


「名前? えっと……」


「神谷(かみや)だよ。言ったろ? 暁(あきら)って呼んでくれてもいいよ?」


「そういうあなた、じゃなかった神谷さんだって……。私は“おまえ”なんて名前じゃないわよ?」


「だっておまえ、教えてくれないじゃねえか……」


「え? 言ったじゃない、“ねこ”だって」


「ふざけて言っただけだろ?」


「違うよ。本名ではないけど、学生の頃はそう呼ばれてたもん」


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