アイドル拾っちゃいました
「おまえの事なんか俺が知ってるわけないだろ? さっき言ったように、安月給の俺はそっちの世界に縁がないんだからさ……」


「こっちの世界って?」


「それはえっと……ある種の接客業?」


 ねこはまた、不思議そうに首を捻った。そして、


「ねえ、私は誰から逃げてると思ってるの?」


 考え込むような顔をしてから、そう聞いてきた。


「そりゃあ、元締めというか、おまえの雇い主だな。違うのか?」


「違わないわよ?」


「やっぱりな。その人って、あっち系のヤバい人なんだろ?」


 俺がそう言ったら、なぜかねこはクスッと笑った。


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