アイドル拾っちゃいました
 風呂から上がって居間に行くと、ねこはさっき買った雑誌を読んでいて、俺に気付くとそれから顔を上げた。


「私、眠くなっちゃった。またタオルケット貸して?」


「おお、それはいいけど、今夜もそこに寝るのか?」


 “そこ”というのは、もちろん今ねこが座っているソファーの事だ。


「うん。ここしかないでしょ?」


「まあ、そうだけど……」


 確かにこのアパートの中で眠れる場所と言えば、そのソファーか俺のベッドしかない。予備の布団があれば、それを床に敷くという手もあるが、生憎と予備の布団はない。


「そこじゃ狭っくるしいよな? 体が痛くなったりしただろ?」


「うん……でも、がまんするから大丈夫」


 やっぱりそうか。それも可哀相だよな。かと言ってねこをベッドに寝かせ、俺がソファーに寝るというのはイヤだしなぁ。


 あ。俺のベッドって、確かセミダブルだったよな?

 小さいベッドで寝るのは嫌いだから、大き目のを買ったんだった。


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