アイドル拾っちゃいました
「なあ、俺のベッドで寝ないか?」


「ベッドで? あなたは?」


「ん? 俺もベッドで寝る」


 ねこは俺の提案に一瞬ポカンとしたが、


「そういう事言うなら、私……出てく」


 怒った顔でそう言った。

 ねこがすんなりオーケーするとは思わなかったが、そこまで強く拒絶されるとは思わなかった。この一日で、俺たちには信頼関係が出来てると思ったのは、俺の勝手な思い込みだったか……


「誤解すんな。俺は手出さねえよ。ベッドはまあまあ広いし、俺もお前もスリムだから、二人で寝てもたぶん間が開くはずだよ?」


「本当に変な事しない?」


 ねこは怪訝な顔でそう言った。


「絶対しないよ。なんせ俺には……」


「彼女がいる、のよね?」


「そういう事」


 ねこは俺の心を探るかのように、ジーッと俺の目を見た。そして俺も目を逸らさずにねこを見ていたら、


「わかった。あなたを信じる」


 と言った。


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