アイドル拾っちゃいました
 俺はまたイヤな夢を見ていた。

 会社の同僚で悪友の川島が、苦しむ俺の顔をニヤニヤ笑いながら見下ろしている。手に重い砂袋を持って。


 『川島、苦しいから、もうやめてくれよ……』


 俺が必死に懇願しても、川島のヤロウはそれを無視し、砂袋を俺のみぞおちに落とすのをやめてくれない。


『苦しいって言ってんだろ! 俺はボクサーじゃねえし、腹筋を鍛える必要なんてねえんだよ!』


 そう叫んで目が覚めた。

 こんな夢を見たのは、腹に乗ってるねこの脚のせいだろう。ちょうどみぞおち辺りに、ズッシリと重さを感じる。


「悪いけど、重いから……」


 そう断りを入れてから、俺はねこの脚に手を伸ばした。あの滑らかで柔らかい手触りを期待しながら。

 ところが手が感じたのは、モジャモジャだった。


「ぱ、パーシー、てめえか!? どけ!」


「みゃ~」


「“みゃ~”じゃねえよ!」


 腹の上に乗っていたのはネコで、ねこはベッドにいなかった。


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