アイドル拾っちゃいました
「お寝坊さんね。夕べは遅くまで起きてたの?」


「ん? まあね……」


 誰かさんのせいで眠れなかったんだよ!


「朝ご飯にしましょう? もう、お腹ぺこぺこ」


 ねこは爽やかに微笑んでそう言った。俺とは反対に、睡眠が十分足りてるようだ。俺は寝起きであまり食欲はないし、外に出るのは億劫なのだが、


「そうだな。じゃあ俺、何か買って来るわ」


 仕方なくそう言うと、


「もう買ってあるわよ」


 ねこは得意げにそう言った。


「おまえ、外を出歩いたのか?」


「うん。ジョギングして、その後コンビニに行って来たの」


「そんな事して、見つからなかったか?」


「大丈夫よ。人の目に止まらないように早く走ったし、コンビニへは帽子被ってサングラス掛けて行ったから」


「早く走った?」


「そ。ビューンって……」


 ねこは、身振りを交えてそう言った。こいつがそんなに早く走れるとは思えないが、その仕種がすごく可愛くて、思わず俺の頬は緩むのだった。


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