アイドル拾っちゃいました
 それは女の声だ。


 ん? 何だ?

 子ネコの「みゃ~」と鳴く声を、そんな風に脳内で人間語に翻訳したのだろうか。

 すげぇ。俺はドリトル先生か?


 そんなバカな事を思いながら居間に足を入れた俺は、あるモノが目に飛び込んできて固まってしまった。


 おい、嘘だろ?


 あるモノとは、白くて細くて、それでいてムチッとして長い、脚だった。

 明らかに女性の脚と思われるそれは、ソファの上に長々と横たわっている。そしてその上へ視線を辿ったが、薄茶色のタオルケットが被さっていて見えない。タオルケットはもちろん俺のだ。


 ひょっとして、俺はどこからかマネキン人形を拾って来ちまったのかも。

 そう考えた俺は、それに近付くと腿のあたりを指で軽く突いてみた。


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