アイドル拾っちゃいました
 明美はそのエリートともわずか数ヶ月で別れ、また俺の元に戻って来た。そしてずるずると関係を続けて今日に至る。


 あ。明美の話って、そういう事か?


 今までのパターンを考えると、そろそろ別の男と付き合いだす頃だ。たぶん、そういう事なんだろう。


 その時、部屋のチャイムが鳴った。明美が来たのだろう。10分という事は、駅から電話して来たに違いない。


 ねこに目をやると、彼女は黙って頷き、寝室へと移動していった。


 玄関へ行きドアを開けると、果たして明美が立っていた。しっかりと余所行きの服装で。


「久しぶりね?」


「おお、そうだな」


 挨拶もそこそこに、明美は靴を脱いで部屋に上がって来た。香水のきつい匂いをさせながら。


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