アイドル拾っちゃいました
 居間に入り、ドアを閉めようとしたら、「暑いから開けておいて?」と明美に言われてしまった。俺としては、ねこに会話を聞かれたくないから、閉めておきたかったのだが……


「今コーヒー淹れるから」


「要らないわ。時間がないの」


 そう言いながら、明美はソファーに腰掛けた。さっきまでねこが座っていた場所だ。明美はねこの温もりを感じたらしく、「なんかお尻が温かいんだけど?」と言った。


「え? あ、ああ、俺が座ってたから」

「そう?」


 ふー、あぶないあぶない。しかし我ながら上手くごまかしたな。


「で、話って何?」

「うん。一昨日の晩ね、会社の子達と合コンに行ったの」

「へえー」


 普通、付き合ってる彼女からそんな事を言われたら怒るだろう。だが、俺は何とも思わなかった。そして、俺の勘は当たったらしいなと思った。


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