アイドル拾っちゃいました
「それで、いい男がいたのか?」


「そうなのよ。彼、お医者さんなんだって。しかも開業医の長男さんで、将来は病院を継ぐらしいの。すごいと思わない?」


「ほー、それはすごいな」

 大してすごいとは思わないが、話を合わせておこう。


「でしょ? しかもその彼から連絡が来て、これから一緒に食事をするのよ」

「ふーん」

 だから時間がないわけだ。


「でね、彼と付き合う事になりそうだから、それをあんたに言っておこうと思ったわけ」


「それはご親切に、どうも」


「あれ? 暁、怒ったの?」


 仮にも“彼氏”相手に浮気宣言をしに来た明美に、俺はつくづく呆れて言ったのだが、明美はそれを怒ったと思ったらしい。


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