オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
スクーターにふたり乗りしてきたことといい、登校するなり口喧嘩を始めたことといい、このヤンキー共はほんと周りが見えてないっていうか。朝から疲れる。
「ねえ、もういいから準備して」
ふたりは私に視線を移し、虎鉄がエンジンを切ってから目の前にやってくる。
「先輩、すみませんでした」
「いいってば。それよりスクーター、駐輪場に置いてきたほうがいいんじゃない」
それで通学って認められてないでしょ。
「ゴーレムに見つかったらまた怒られるんじゃないの」
「あー。いいっす。どうせその内バレるし、今はこっちのが優先」
そう言って私から用箋ばさみを取り上げた虎鉄は、少しだけ口元をほころばせた。
優先って。ささっと置いて戻ってくればいい話であって、それくらいの時間、今さら待たされた内に入らないわよ。
……自分勝手なくせに、妙に気を回すんだから。
「それ私の。返して。虎鉄たちのはあっち」
風紀と書かれた腕章とボールペン付きの用箋ばさみが置かれた場所を指差す。けれど虎鉄はじっと私に視線を注ぐ。
「先輩もしかして、めちゃくちゃ怒ってる感じっすか」
「なんっでそうなるのよ……。虎鉄たちの分もあるって教えただけでしょ」
「いやなんか。いつもより大人しくないっすか」
「普段が気性荒い人みたいに言うのやめてくれる」
「そういうつもりじゃねーけど。なんか調子狂うんすもん」
狂わされているのは私のほうですけど!?