オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

「ふっ。きゅうだって校外に出ればウジャウジャの一員だべや」

「返事はハイだろ殴られてぇのかクソバクゥウウウ!!!」

「分ああかったからやめろタブレットしまえボケェ!!」


ぎゃあぎゃあと取っ組み合い始めたバクときゅうを眺めながら、溜め息を零した。


言われなくてもバンビ先輩は俺が家まで送るんだから、問題ないっつーのに。





「意外に落ちてないもんだねー」


放課後、ゴミ拾い用トングを開閉させるバンビ先輩の言う通り、オリガク周辺にそこまでゴミは落ちていなかった。


ひとまず最寄りのバス停まで辿ってはきたが、たまに空き缶が転がっているくらいで、あとはほぼ吸い殻だ。


「こんなデカいゴミ袋持ってくる必要なかったべやー。ゴーレムの野郎。持ち歩くの恥ずいっつーの」

「俺なんか魔女箒だっつーの」

「ぎゃっは! 魔女箒! 飛んでけ、トラ!」

「置いてくよー」


箒をバクに向けてスイングしていると、バンビ先輩はひとり進路を変える。まるで危機感がねえな。昨日なんのために俺が家まで送ったと思ってんだ。


「どこ行くんすか」

「反対側のバス停。このままオリガクの裏、ぐるーっと回れるじゃん」


確かに。住宅街に囲まれるオリガクは、正門から出ると左と右斜め後ろにバス停がひとつずつある。


俺は正面に住んでるようなもんだから徒歩通で関係ねえけど、バンビ先輩はオリガクより高台に住んでいるから、右にあるオリオン方面行きのバス停を利用している。


今まさに向かっているのは、オリガク生の半分以上が利用しているであろう、街方面行きのバス停だ。
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