オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
まあ、案の定ゴミらしいゴミは落ちてねえが。
手持無沙汰にも程があるので、1歩先を歩くバンビ先輩を眺めて思ったことを口にする。
「今日の髪型かわいーっすね。どうなってんすか、それ」
めずらしく低い位置でお団子にしているのだが、左右におくれ毛が残っており、後頭部を見る限り、ただ括ったという感じがしない。
「どうって……最初に編み込みして、三つ編みにしてから、ぐるっとまとめただけ」
アミコミ……後頭部のそれのことか?
「でもなんか、ラフ?っすね」
「きっちり編んでないから? お団子にする前にわざと毛束を少しずつ引っ張り出してるんだよ」
「へー。お団子自体どうやんのかサッパリですけど、手の込んだ感じっつーのは分かりますわ」
「そんな複雑なアレンジじゃないけど……」
バクが持つゴミ袋に吸い殻をなげたバンビ先輩は、
「結んでたほうが好き?」
と、うっすら頬を染めながら質問を投げかけてきた。
控えめな上目遣いが、幾千もの槍になって俺の胸に突き刺さる突き刺さる。射抜かれてときめくどころの騒ぎじゃねえな。穴開いて吐血しそうだわ。
「好きっちゃ好きですけど、たまにでいいっすね」
今は視界の隅でにやにやしてるバクがいるから、理性は保っていられるが。
「毎日その白くてほっせー首とか見せられちゃ、たまんねえっす」
「は……? 首?」
「かぶりつきたくなるんで」
頷くと、自身の首を押さえていたバンビ先輩がじわじわと赤面していく。そのあとの行動と言えば。