オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

「――バッ、」

「カじゃないんで。褒めてるだけって言ってんべや。首筋キレーすっね」


何度もバカバカ言われるのは心外なので、どうどう、と落ち着かせるように手の平を見せた。すると羞恥を感じていたはずのバンビ先輩は、目の色を変えた。


「バンビの美しい首筋にかぶりつこうなんて。この猛獣」

「……無理くり言い直した感ハンパないっすね」

「私が『バカ』ってしか言い返せないとでも?」


いや別に俺は喧嘩を吹っ掛けてるわけじゃねーべよ。


何をそんなに怒ってんのわ?


前々から赤面して『そういうことは言うな』って怒ることはあったが、最近は俺が何かを言ったあとの態度に怒っているような気がする。


落ち着かせようとしたのが癪に障ったのか? 年下のくせにって? そんな理由だったら上下関係などクソくらえなんだが。極力タメ口はきかないようにしてるっつーのに。意味が分からん。


じーっとバンビ先輩を見つめて考えていたら、突然、腹のあたりをトングで挟まれた。


「バク、粗大ゴミ発見」

「ぶあっはははは!! さーせんバンビ先輩! さすがにそれはゴミ袋に入らねーっす! なんせ捨てるのに金が掛かる粗大ゴミなんでっ!」


げらげら大笑いするバクと、冷ややかな目で俺を見上げるバンビ先輩に頭痛がする。


……俺、結んでたほうが好きかって訊かれたから、答えただけだよな?


なして粗大ゴミ扱いされなきゃいけねぇのや!
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