オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
付き合った人はそのままでいいよって言うけど、ちっとも良くなかった。
おしゃれも手料理も振る舞いも、全部が全部自分のためだったわけじゃないのに。喜んでほしくてやったことは、大体が望まれないことだった。
たまたまなのかもしれないけど、当時はそれが全てで。みっともないことばっかりで、失敗続きの恋愛しかしたことがない。
付き合って、すれちがってばかりだった。手を繋いで、傷のなめ合いだったと気付いた。キスをして、やきもちばっかり妬いていた。体を重ねて、他にセフレがいるって知った。喧嘩して、トロフィー彼女のレッテルを張られた。
そういう積み重ねが、私にもっと言葉を選ばせて、嘘をつかせて、虚勢を張らせた。
無邪気に好きって言っていた頃の自分に、戻れない。
戻りたくないのかもしれない。どれだけ好きでも、すれちがうことがつらくて、別れを選んでしまったから。
私は、虎鉄と似た経験をしている。
目指す高校に好きだった人がいることも、同じ高校に通う前に別れてしまったことも、一緒。
オリガクの3年生には私が初めて付き合った人がいる。
初めてで、一度きり。自分から告白した人がいる。
だから、中学生だった虎鉄の気持ちと、中学生のときに味わった私の気持ちを重ねてしまったんだ。
別れてつらかっただろうなって。高校に入っても付き合っていたかっただろうなって。また同じ制服を着たふたりを思い浮かべただろうなって。