オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「どうなったかと見に来れば、やらかし過ぎ。チャンス逃し過ぎ。バカ過ぎ。愚鈍過ぎ。呆れて物も言えない」
「言い過ぎなくらいだよ!?」
「反論がないならさっさと着替えて帰るよ」
歩き出したミーアは制服だった。
バクに聞いて、わざわざ様子を見に来てくれたのかな。乗車するバス停、私と逆なのに。
「ミーアと付き合いたい……」
「うちはトラと付き合いたい」
「……いやいやいや。騙されないよ? いくら年下キラーのミーアでも今のは冗談だって分かるからね? ていうか虎鉄は絶対に経験済みだからね!?」
「よってトラは除外しろと」
「そ、ちっ……ああもう! 誘導するのなし!」
両耳を塞ぐ私をくすりと笑うミーアは、なんだかんだ1番の理解者だと思う。
「ま、心決めたら、真っ先にトラに言ってあげたほうがいいよ。なんたって盛大に怒らせたみたいだしねー」
「持ち上げてすぐ落とすのやめてほしい」
「ほら。見張ってるから着替えて。10秒経ったら帰るよ」
「それ着替えじゃなくて早着替え!」
カウントし始めたミーアに、急いで教室に入って着替える。もっとゆっくり数えて!と騒ぎながら、緊張でどきどきしていた。
嫉妬や、焦燥や、後悔で埋まった胸の、もっと奥。
あるよね? なんかこう、胸の底からぎゅーって苦しくなったり、弾んで踊ったりする、生まれながらにそれと知っているものが。
ありますとも。どうしたって消えなくて困ってたんだよ。
……うん、決めた。そして言ってやる。
虎鉄史上最高の彼女になるのは、私以外ありえない。
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