オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
・折舘東学園の日常的恋騒動
「おっはよー!」
月曜日の朝、教室前の廊下に座り込んでいたミーアとミヤテンに笑顔を向ける。
「おーっす」
「おはよ。上機嫌だね」
「今日でやっっと美化運動から解放されるからね! それにぃ、」
彼氏ができましたから!という台詞はミーアがスカートをめくってきたことで霧散した。
「急に何してるの!? そそ、そういう趣味あったの!?」
「なんでまたヒモパンなのよ。学習しなさいよ」
「してるけど! 好きなものを履きたいでしょ!?」
「何を期待してんのよ。これだから彼氏できたては」
「これと虎鉄は関係ないもん!」
スカートの端を伸ばそうと握り締める私を、ミーアはにやにやと見上げてくる。
くっ……見透かされてる気がするから下手なことは言えない……!
「家に帰ったの、日曜の夜だもんねぇ?」
「えっ。昨日のあれ、やっぱ泊まってたんだ?」
ミヤテンの言う“あれ”とは、恐らくSNSにアップした画像のことだと思う。日曜の昼頃、虎鉄が作ってくれた炒飯ふたり分の写真と一緒に『やっとご飯~。見た目より美味しい♡』と呟いたんだ。
ええ、浮かれてるのは自覚してますとも。
「土曜日曜と同じ下着だったから、今日は傾向を変えてきたと見た」
「高遠、今日はいつにも増して可愛い気がするもんなー」
「そうなの今日は2割増しなの」
ミーアの予想は流し、見る目のあるミヤテンにふふんと笑う。
「早く放課後にならないかなーっ」
まだ登校したばかりなのに、くるりと1回転した私を、ふたりは半ば呆れたようにも可笑しそうにも感じる表情で見つめてくる。
「幸せそうだね」
「幸せそうだな」
声をそろえたふたりに、私は満面の笑みを向けた。