オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「短い幸せだったね」
「終わったように言わないでくれる!?」
朝に送った『おはよう。学校来てる?』というメールに、虎鉄からの返信はこないまま、昼休みになった。
「この2週間、なんだかんだ連絡は取り合ってなかったじゃん。マメじゃないのかもよ」
「付き合いたてでマメじゃないとか信じられないっ」
「じゃあ寝てんだよ。まだ登校してない。以上」
「異議あり!」
「却下」
ひどい! わあっと机に泣き伏せると、ミーアは「それよりさ」と相変わらずな対応しかしてこない。だから私も右から左へ受け流す。
交際3日目で、彼氏からの連絡が来ないことを不満に思うなんて。
今までの経験上、付き合いたてはそれはそれはもうラブラブだった。同じ学校でも別の学校でも、朝から晩まで携帯片手にキャッキャッとしていたはず。
それが当てはまらないなんて、おかしい。
この私が彼女なのに。この私がウキウキしながら学校に来たのも、自分をより可愛く見せようと張り切ったのも久々だというのに。
これは高遠楓鹿への冒涜だ。許すまじ虎鉄。
「振り回されてるなー、ミス・オリガク」
認めるのも嫌なので、むすっとしたまま顔を上げるとミヤテンが肩を揺らして笑っていた。
「彼氏で頭いっぱいのところ悪いんだけど、呼び出し」
ミヤテンは教室の出入り口を指差す。
「あ……」
「さっきから話してたのに聞いてなかったでしょ。さっさと行ってきなさいよ」
私と目が合って軽く頭を下げたのは、『2週間後にまた出直す』と言っていたストーカー気質の男子だった。