オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
虎鉄って結構、くっつきたがり。
かくいう私も、そうなんだけどね。
「なんで寝坊したの?」
「眠くなったの朝方なんすよ。昨日、夕方も寝たじゃないっすか」
「ちょっとしか寝なかったじゃん。虎鉄は昼まで寝てたからでしょ」
「起こしてくれりゃあ良かったのに」
「それ昨日も散々聞いたぁ~」
目を覚ましてすぐ『なして起こさねえのやー……』って時間を確認したときから、『起こしてくれりゃあ昼間出掛けられたのに』って送ろうと準備をしてくれたときまで。
ぶつくさうるさかったよね。
私はごめんって謝りながら、笑ってた。
今週末出掛けよう、とか。どこに行こうか、何をしようかと色々話していたら昼休みが終わって、5時間目の授業も過ぎていった。
「今日は?」
「うん? 今日は美化運動最終日ですよ」
「知ってるわ。そのあと」
「暇だけど。そういえばお姉ちゃんに虎鉄連れてこいって言われた。今日は妹とお母さんしかいないから、今度お姉ちゃんいるときに来てね」
「……先輩の母ちゃんって、主婦っすか」
「うん。物心ついたときから毎日家にいるから自宅警備員とも言える」
「先輩の母ちゃんのほうがバリバリのセコムンじゃないっすか」
ふはっと思わず吹き出してしまった。お母さんは気遣い屋さんだから大丈夫だよ、とはまだ言わないでおこう。
くつくつ笑っていると虎鉄は腕時計を確認して、足がしびれたと胡坐を崩す。それでも私は虎鉄の両足のあいだに座ったまま、「腹減った」という台詞に小首を傾げた。