オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
……まずい、まずい! 場所といい明るさといい、いくら私でも恥ずかしすぎる!
「虎鉄、もうやだってば……っ」
流されてたまるものか、と思った私の手を、虎鉄は自身の肩へと持っていく。同時に膝立ちをするよう腰を持ち上げられて、虎鉄の顔が胸に埋められてしまっては、諦めの芽が出そうになってしまった。
けれどすぐさまその根が枯れたのは、虎鉄とはべつの人と、目が合ったから。
「ぎゃーーーーっ!!」
「わぁあああああ!?!?」
今までどこにそんな力が隠れていたんだってくらいの力で虎鉄を突き飛ばす。大急ぎでめくれ上がった制服を直し、ドッドッと激しく鳴る胸を押さえた。
「ご、ごめ、いや、でも、まさかこんなところでそんな、だって、ええっ!?」
ひとり慌てふためいているのは、『立ち入り禁止』のサインスタンドの前で立ち止まる、コンコンだった。
見なかったことにしてもらおう。いや無理だ。乳は見られていないとしても虎鉄がそこに顔をうずめていたのはバッチリ見られた。
そうじゃなきゃいくら経験なしと噂されるコンコンといえども赤面しないと思う。でもゴーレムじゃなくて良かった! ゴーレムだったら間違いなく首飛んでた!
とはいえ純朴なコンコンも一応、教師なわけで……。
見て見ぬふりをする人だとは思わないけど、ただ授業をさぼってイチャイチャしていたってことには、
「と、とりあえず、ふたりとも……ついてきてもらえる、かな?」
ならないよねぇえええ……。