オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「それでしばらく公園のベンチでぼーっとして、おじいさんと散歩してたチワワを触らせてもらってましたよね。俺それを見て、思ったんです」
いやだからおかしいでしょ。
あなた、まさか……。
「見知らぬおじいさんちのチワワより、俺んちの愛犬を撮ってほしいなって!」
いつから尾行してたの!? 怖っ!
「ワイヤーヘアードポインティンググリフォンっていうんですけど!」
シルエットすら浮かびませんけど!?
「今度ぜひ俺んちに遊びに来てください!」
それより昨日元カレと鉢合わせてからチワワの写真を撮らせてもらうまでざっと見積もっても2時間はあったけど、あなたは一体どこから私を見ていたの?
暇なの? ストーカー気質なの?
……え? それで家に遊びに来てくださいって言っちゃう? 行くわけなくない?
この人、部屋の壁一面に私の盗撮写真とか飾ってそうじゃない?
後ずさりたい衝動をなんとか我慢してみるけど、目の前に立つ男子の鼻息が荒いような気がしてうまく笑顔が作れない。