オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「あーっ! もっかい聞きてえな! くたばれ!」
「トラお前、そればっかだな。言われたの俺だけどな」
そうは言われてもバンビ先輩を思い返せば、くつくつと笑ってしまう。
「赤くなってくたばれって。小動物の反撃マジめんこい」
「バンビ先輩の可愛さもいいけど、ミーア先輩のサドッ気もいいって噂ぁ~」
「誰それ」
「三井 歩那(みい あゆな)。昨日バンビ先輩に買いもの頼んでた人。清掃中も一緒にいたべや」
ああ、ちょいつり目の。そういやこいつ話してたな。
鎖骨あたりで外巻きにしていた髪はベージュ系のグラデカラーだった気がする。
バクの好みじゃねえはずだけど、にやにやしてるっつーことはサドッ気のあるセクシー系なんだろう。年上好きだもんな、こいつ。保健体育を学ぼう的な煩悩も含め。
「――ってわけで?」
突然肩を抱かれ、バクを見る。
「……てめーは悪いことを考えてんのがすぐ分かるな」
「2週間、楽しもうぜ」
ひとりでやってろ。やっぱ何もすんな。迷惑だから。
そう思ってもバクが浮かべた表情は楽しみで仕方がないというもので、悪戯に生きがいを見い出した当時6歳のバクと比べても遜色ないものだった。