オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「がおるわ~。窓ガラス割った箒を蹴飛ばしたのはバンビ先輩だって言ってんのにやぁ」
「おめぇらが喧嘩しようとしたからだべ!? 先輩に全部かつけるんでねぇぞ!」
「はぁん? 俺がいつバンビ先輩に全部なすりつけたよ。事の発端は先に殴ってきたトラだでばっ」
「おめぇが応戦しようとしなきゃ良かった話だべや!」
「なしていっつも俺だけ悪者扱いすんのわ!?」
突き詰めると、バクが思い付いた悪戯が原因だからとしか言いようがない。
しかしまあ、ほどほど田舎出身がそろうと訛りがひでぇな。
ぎゃあぎゃあと目の前で繰り広げられるバクとゴーレムの口論に参加する気のない俺は、ちらりと後方を見遣る。
まさに俺らと無関係といった距離を保ちながら歩く、ほどほど都会出身のバンビ先輩がいた。
不服っちゃあ、不服だろうな。
放課になり生徒指導室に現れたバンビ先輩は俺らと一切目を合わせず、バクに話し掛けられても完全無視だった。
なんで自分がこんな目に、と思っているのが一目瞭然なほど不機嫌。反してバクは少しも悪びれちゃいねえし。
昔からそうだ。バクに『何があった』と追及するのは自滅行為と言える。
どうしたってバクが悪いだろってことも、相手が悪いだろってことも、敵味方関係なしに全員巻き込んで引っかき回す。それはもう生き生きと。