オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

今回の件は誰に責任があるかは置いといても、バンビ先輩を不憫に思わなくもない。


でも、俺まで嫌われるのは納得いかねえっつーか。


「はあ!? 下校時刻まで活動すんのわ!? 部活じゃねーんだから!」

「おめぇらが帰宅部じゃなきゃ、部活参加自粛で済んだ話じゃボケェ!」


いつまで言い争ってんだよ。


ぎゃんぎゃん吠える2匹の動物を見ている気分で階段を下り、下駄箱へ向かう。


今日の美化運動は中庭の清掃に決定したため、靴を履き換えなければならない。


めんどくせえ。けど、また停学を食らうよりはマシだと午前中の内に自分に言い聞かせた。


「……、」


昇降口へ出た瞬間、見たくないものが目に入った。


校舎の外壁の出っ張りに身を隠し、こちらを凝視しているのは、昨日まさに『キャラメル味のかりんとう買ってこい』と命令してきた張本人。


やべえ……。帰ってなかったのかよ。


目を逸らすより先に中指を立てられ、その中指が『来いや』と言っていた。


思わず舌打ちをした俺は、未だに言い争うバクとゴーレムとは反対方向へ脚を出す。


「なんか用か」


俺が歩み寄ってくると分かっていた〝きゅう〟は、背中をべったりと外壁に張り付けていた。今バクやバンビ先輩が振り返ったら、俺は壁と向き合ってる変人じゃねえか。


「さっさと用件を言え。いちいち隠れてんじゃねーよ」

「うるせぇしばくぞ」


しばきてえのは俺のほうだっつーの!
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