オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
まさかの第一声にむかっ腹を立てた俺は、いつものことだと無理やり溜め息をついて気を静める。
「で? こんなとこで待ち伏せしてた理由はなんだよ」
「連絡返せってんだよ! バカトラがっ!」
「ゴーレムの前で携帯見れるわけねえべや」
ギロリと睨まれた俺は仕方なく携帯を取り出す。
着信3件、メール1件の全てがきゅうからで、メールを開くとまた溜め息が零れた。
その隙にきゅうは壁の出っ張りから顔を覗かせ、人とも思えない奇声を発して昇降口を窺っていた。
そこには立ち止まり、髪を結うバンビ先輩の姿がある。
「ぎゃわ……っぶはぁああ……っひょぉおおお!」
「おい通報されるから黙れ」
「なんっじゃあの可愛い生き物おおっ!!」
聞いちゃいねえな。
気色悪いきゅうから携帯画面に視線を移す。そこには≪写真ば撮ってこい≫という短い受信メール。
「おい、きゅう。写真なんか無理だぞ」
壁の出っ張りに抱きつきながら身悶えていたきゅうは、「ああ!?」と勢いよく振り返る。
「無理じゃねーよ撮るんだよ!」
「てめぇで撮りやがれ」
「バッ……! バカ言うな! それじゃ盗撮になんべ!?」
「だったら直接本人に写真撮りてえって言やぁ……チッ! めんどくせーから呼んで、」
「やめろボケェエエエエ!!!」
ガツンッ!と頭に衝撃を受ける。きゅうが持っていたタブレット端末で殴られた俺は、ぐっと奥歯を噛み締めた。