オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「余計なことすんじゃねーよ! バッ、バンビ先輩にちょ、直接とか……っバカか! 隣に並んで一緒に撮るなんてことになったらお前っ……バカか!」
ふおおお!と想像して赤面するこのバカに言いたいことは山ほどあるが、そのたびにタブレットで撲殺されかねない。
バンビ先輩のことになると、こいつはホントに手がつけられない。今日だって登校した途端、
『てめぇらバンビ先輩に何しやがったあああ!!!』
と処分通知を見たきゅうに胸倉を掴まれ、頭突きを受けた。そのあとは罵声、殴打、罵声、頭突きの嵐だ。
精神的にも肉体的にも死ぬかと思った。
思い出して寒気がした俺は、まだ赤面して「やめろよバカ、照れるだろ」と妄想中のきゅうにドン引きしながらも声を掛ける。
「おい。俺もう行くぞ。写真は期待すんなよ」
「嫌だ。絶対撮ってこい」
子供じみたその態度にいい加減ブチ切れそうだったが、睨むとバツが悪そうに口を尖らせたので見逃すことにする。
「さっさと帰れやストーカー」
「な……っ! ふっざけんなバカトラ! バンビ先輩に迷惑かけたら容赦しねぇかんな!!」
ハイハイ、と心の中で返事をした俺は、背中に感じる威圧的な視線を振り切り、中庭へ向かった。
クッソ、頭いてぇ。たんこぶできてんじゃねえか。バンビ先輩のファンだか知らねえが、迷惑千番でしかねえ。