オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
可愛いことは素晴らしい。
武器になるし、自信にだって変えられる。
だけどそれだけじゃ繋ぎ止められないものも、許されないことも、乗り越えられないことも当然ある。
妬まれるし恨まれるし、盗撮はされるし尾行はされるし、得なことばかりじゃない。
可愛いだけじゃダメなんだよ。
最初はよくても、ちょっと喧嘩しただけで『なんか飽きた』と、交際3ヵ月目で振られてしまったように。
「バンビせーんぱいっ! なんで今日は制服にハーフパンツなんすか?」
「……着替えるの面倒くさくて」
「俺、スカートの下に長ジャージ履くのはどうかと思うんすけど、ハーパンはいいっすねー。いかにもチラ見え防止!って感じで」
「……パンツごときで騒ぐ男子もどうかと思うよ」
「えっ。それバンビ先輩が言う?」
放課の美化運動3回目は、体育館のステージ下に収納されているパイプ椅子の清掃になった。
ステージに虎鉄、私、バクが横一列に並び、エタノールを水で薄めた節約除菌スプレーを雑巾に噴きかけ、ひたすらパイプ椅子を拭いていた。
清掃する箇所は3人で決めろと言っていたくせに、今日に限ってはゴーレム含む教師陣に命令された。
ここぞとばかりに面倒な清掃を押しつけてくるあたり、今回だけじゃ済まない気がして、溜め息をこぼす。